ESCAPについて

 国際連合アジア太平洋経済社会委員会(United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific、以下ESCAP)は、アジア太平洋地域で最も包括的な政府間プラットフォームです。ESCAPは、53の加盟国と9つの準加盟国の間で、持続可能な開発課題の解決に向けた協力を推進しています。ESCAPは、国連経済社会理事会の下に5つある地域委員会の中の一つです。

 

ESCAP事務局は、行動指向の知識を生み出し、国家開発目標、地域協定、持続可能な開発のための2030アジェンダの実施を支援する技術支援と能力開発サービスを提供することにより、地域における包括的で強靭な持続可能な開発を支援しています。また、ESCAPは国レベルでの加盟国への支援も行っています。ESCAPの国別提供は、世界や地域の政府間枠組み、協定、その他の施策の実施に根ざしており、それらと連動しています。ESCAPの国別支援の概要はこちら

 

ESCAPは、他の国連機関や地域の政府間組織と密接に協力しながら、「マクロ経済政策と開発資金調達」、「貿易及び開発と投資」、「輸送と交通」、「環境と開発」、「ICTと災害リスク低減」、「社会開発」、「統計情報」、「エネルギー」、以上の8つの部門で業務を遂行することにより、この目的を追求しています。

(出典:About ESCAP | ESCAP (unescap.org)

 

貿易及び開発と投資部門においては、貿易電子化の促進に関する様々なプロジェクトを立ち上げ成果物を発信しています。下記CPTAに関連するところだと、ペーパーレス貿易に関しても、電子データを用いた国際貿易に対する準備ができているのかどうか国別に調査を行い、評価レポートを作成し刊行しています。また、貿易電子化及びペーパーレス貿易のみならず、アジア太平洋地域における貿易に関して様々な分野にフォーカスした調査を行っています。

 

AFACTの活動にもリエゾンメンバーとして参画しており、中間会議や総会などの場においてプレゼンテーションを行う、参加国と議論を交わすなど貿易円滑化促進に積極的な姿勢を見せています。

 

主な加盟国は以下の通りです。

 

UNESCAPアジア太平洋地域内加盟国(49):アフガニスタン、アルメニア、オーストラリア、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、北朝鮮、フィジー、ジョージア、インド、インドネシア、イラン、日本、カザフスタン、キリバス、キルギス、ラオス、マレーシア、モルディヴ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、モンゴル、ミャンマー、ナウル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パラオ、パプア・ニューギニア、フィリピン、韓国、ロシア、西サモア、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、タジキスタン、タイ、東ティモール、トンガ、トルコ、トルクメニスタン、ツバル、ウズベキスタン、バヌアツ、 ベトナム

 

UNESCAPアジア太平洋地域外加盟国(4):フランス、オランダ、英国、米国

 

UNESCAPアジア太平洋地域準加盟国(9):クック諸島、グアム、香港、仏領ポリネシア、マカオ、ニウエ、ニューカレドニア、米領サモア、北マリアナ諸島

(出典:ESCAP Members and Associate Members | ESCAP (unescap.org)

CPTA

アジア太平洋における国境を越えたペーパーレス貿易に関する枠組協定(Framework Agreement on Facilitation of Cross-Border Paperless Trade in Asia and Pacific、以下CPTA)はWTO貿易円滑化協定 (以下TFA)を補完するものとして、 2016年5月にUNESCAP決議により採択され、2021年2月に発効しました。TFAは、情報の公表と現行制度についての貿易円滑化措置などを規定していますが、国境を越えたペーパーレス貿易は対象としていません。

CPTAは貿易のデジタル化に焦点を当て、TFAを補完するものであるとしています。現在の加盟国はアゼルバイジャン、バングラデシュ、中国、イラン、フィリピンであり、加盟検討中の国もあります。

CPTAの目的は、国際貿易取引をより効率的かつ透明性のあるものとしつつ、規制遵守を向上させることを目標として、貿易関連のデータおよび文書を電子形式で交換、相互承認することを可能とし、国内および準地域のシングルウィンドウやその他のペーパーレス貿易システム間の相互運用性を推進させることにより、国境を超えたペーパーレス貿易を促進することです。

CPTAは、国境を越えたペーパーレス貿易が抱える主な課題として、①国際標準、②各国法制度との調和、③貿易従事者の間でのデジタル化に対する対応能力の格差、④官民連携、⑤政府間調整メカニズムの欠如の5つを挙げ、それぞれに対して主要条項を制定し解決に取り組んでいます。