UNCITRAL MLETR

UNCITRALは、The United Nations Commission on International TRAde and Law (国際連合国際商取引法委員会)の頭文字。

 

 

United Nations Commission on International TRAde Law

1966年12月17日、国連総会で「国際商取引法の段階的なハーモナイゼーションと統一の促進」を目的として、設立決議された委員会。

当初、29カ国の国連加盟国で構成され、日本も1968年から加入し、2004年以降60カ国で構成されている国連の組織です。

 

委員会には、6つのワーキンググループがあり、電子商取引は、ワーキンググループIVで検討されている。

The Model Law on Electronic Transferable Records通称MLETRは、このワーキンググループで検討提案され、2017年7月13日に国連総会にて採択されている。

 

 

MLETR:Model law on Electronic Transferable Records (電子的転送可能記録のためのモデル法)

モデル法MLETRのモデル法とは、各国の立法者が、自国の国内法の一部として制定するため、国連が推奨する立法テキストです。

電子的に転送可能、譲渡可能な記録について、国連が各国内法として推奨する内容となる。

 

4章構成で、全部で19条が設定されていて、各条項それぞれの意図や関連事項について、解説が書かれている。

 

<参考>以下、デジタル社会のポイントとなる条項

7条 電子的転送可能記録(ETR)の法的認定:電子だから法的効力がないとしてはいけない。

電子的に転送・譲渡可能な記録は、それが電子的形式であるという理由のみで、法的効力、妥当性または、執行可能性を否定してはならない。

 

9条 署名:電子的な署名でデジタルデータの完全性を担保すべし。

実体法が署名を求めている場合はもちろん、署名が要件にない(暗黙の使用要件)場合も、電子的な署名(電子署名、e-Seal、タイムスタンプなど)がされているものだけが電子的に転送・譲渡可能である。

 

12条 信頼性標準:

この条項で信頼性を評価するうえでの重要な要素を例示することで、法的確実性を高めることを目指している。

  1.  信頼性評価に関連する運用ルールがあること
  2.  データの完全性が保証されていること
  3.  システムへの不正アクセス・不正使用の防止能力があること
  4.  ハードウェアおよびソフトウェアのセキュリティが確保されていること
  5.  独立機関による監査がされていること
  6.  国家による監督機関、認定機関または信頼性に関する制度により宣言されていること
  7.  国際的に受け入れられている業界技術標準を利用していること

13条 電子的転送可能記録(ETR)の時間と場所の表示:

譲渡可能な書類や装置に時間と場所が示されていることは法的に大きな影響がある。

例えば、債務者の行動や債務者の順序を確立するためには、保証の時期を記録することが必要。